ごあいさつ

 「お客様を知る」…小売業にとって当たり前とも思えることが出来なくなったのはいつからでしょうか。かつて薬屋の主人や化粧品屋の女将さんは、お客様のお名前はもちろん、家族構成や趣味、暮らしぶりに加えて、前回買っていただいたものをすべて記憶していて、たった一人のためのサービスを日々考えていたものでした。
 小売業が企業化するに連れてそれは廃れ、やがて無理なこととして忘れ去られていた感があります。当時の日本人にとっての豊かさは、年々レベルを上げていく周囲の人々の暮らしに追いつく均質性の追求を意味したからかもしれません。

 しかし今、日本人は十分豊かになり、豊かさは多様性という言葉で表現されるようになりました。そのことに、小売業とそれを支えるチェーンストア理論は付いて行ってない様に感じます。ただでさえ人口は減少を始め、均質性の象徴としてのコモディティ市場は縮小を始めました。このままデフレスパイラルに突入することを防ぐためにも、小売業は多様性への対応力を身につけなくてはなりません。

 幸い、日本には非常に多くの優秀なメーカーと高品質のブランドが存在しています。さらにテクノロジーは私たちにID-POSというツールをもたらしてくれました。店舗の従業員数が増えようと転勤しようと、はたまたお客様が複数店舗を利用なさる状況をも超えて、ID-POSはお客様の姿を私たちに提供してくれるのです。

 多くの小売企業が、自らのアイデンティティとも言えるID-POSデータをお取引先に販売し、収益確保の手段としてのみ用いていることは大変寂しいことです。せっかくメーカー様が築き上げたブランドという業界資産を末永く活かしていくためには、お客様を知り、お客様に伝達するという小売のあるべき姿を実現し、メーカー様と手を携える状態を作り出す必要があります。

 単品大量販売を前提とするPOSデータの時代には、データの量(BIG DATA)が問われました。今求められるのは、一人ひとりのお客様の全体像を描き出すための、ID-POSによるDEEP DATAです。この度、全国17社のDEEP DATA保有者たる地域密着型小売業が参集し、約600万人という日本最大規模の、しかも深さを持ったID-POSパネルを構築することができました。さらに自らの売場を検証の場として提供するID-POSマーケティング研究会が発足します。研究会は、店舗を最も効率の高いマーケティングツールとして捉え、機能させることを目的とします。メーカー様のマーケティング担当者に対しても、小売の持つマーケティング機能を理解し、使いこなす能力を習得する場を提供します。

 Segment of One&Onlyは、その名のとおり、メーカー様と小売が一人ひとりのお客様を知り、その方に商品の提供とブランドの育成をとおして最高の価値とサービスを提供するお手伝いをいたします。是非、私たちと共に価値創造に取り組んでください。

Segment of One&Only株式会社
代表取締役社長 平野 健二